先生と私の三ヶ月
【Side 望月】

 危なかった。
 黒田から電話がかかって来なかったから、あのままガリ子を無理矢理にでも抱いていた。

 キスシーンのイメージを考える為、ガリ子にモデルをしてもらっていただけだったのに、膝の上に乗るあいつが可愛くて、魅力的で、つい手を出しそうになった。

 頬に触れた唇の感触を思い出して、ため息が出た。
 ガリ子の唇、柔らかかったな。

 なぜ俺は唇にキスはしないとカッコつけた事を言ってしまったのか。
 これが黒田が言っていた気持ちは高まるが、肉体的な所にいけないジレンマというやつか。確かに我慢大会だ。

 俺の我慢もあと、どれくらい持つのだろうか。
 はあ。またため息が出た。
 
 もう俺は情けない程、ガリ子に翻弄されている。

 ひなこと別れてから、恋なんて出来ないと思っていたが、俺は本気の恋に落ちてしまった。なんて悩ましいんだろう。朝昼晩とガリ子を想うなんて。

 この間、世界で一番、俺が大事だなんて、ガリ子に言われた時は自分でもびっくりする程、動揺した。ガリ子のくせに、あんな可愛い事を言いやがって。あいつは計算とか全くない素でやるから困る。

 集学館に行かせたのは正解だった。
 あのまま家に置いておいたら、俺は我慢できずに手を出しただろう。

 大分、時間が経ったおかげで今は落ち着いたが。

 それにしても帰りが遅いな。もう夜の9時を過ぎてるぞ。
 帰りに自宅に寄ると言っていたが、何か用事が出来たんだろうか。
 今週末が母親の新盆だと言っていたから、準備などがあって忙しいのか?

 もしかしたら、今夜は自宅に泊まってくるのか?
 それなら、連絡ぐらいくれればいいのに。心配になるだろう。

「ただいまです!」
 玄関ホールから大きな声がした。
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