先生と私の三ヶ月
 恵理さんが立ちあがって、先生の本を何冊か持って来てくれた。私のお気に入りなのと恵理さんが言ったのは先生のデビュー作だ。私も同じくデビュー作が大好き!

 先生のデビュー作は一人の男性を一途に思う女性の気持ちが繊細に描かれていて、何度も私はこれを読んで胸をときめかせたり、感動で胸を震わせたり、切ないラストに号泣した。

 その話をすると、恵理さんも「私もそう!」と言って、好きなシーンを答え合わせをするように話してくれた。

 気づけば2時間。夢中になって小説の話をしていた。
 話が終わった頃には恵理さんが親友のように思えた。好きな物を共有すると人との距離も縮まるんだと改めて感じる。みんなに感動を与える作品を書く先生はやっぱり凄い人だ。

「なるほどねー。それで今日子ちゃん、モンサンミッシェルまで行かなきゃならないのね」
 恵理さんが相槌を打ちながら、紅茶のお代わりを淹れてくれた。

「はい。それで、ホテルの名前を書いたメモを無くしてしまって。先生とも連絡が取れなくて困っているんです」

「東京の出版社に問い合わせてみれば? 集学館の電話番号ならここにあるわよ」

 恵理さんは集学館から出ている望月先生の本を開いた。本の奥付の部分に集学館の電話番号が記載されていた。
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