先生と私の三ヶ月
パリ市の14区と15区にまたがるモンバルナス駅まで恵理さんに送ってもらった。ここからTGV(新幹線みたいなもの)に乗ってレンヌ駅まで行く。
 
 レンヌからはバスでモンサンミッシェルに向かう。恵理さんに14時5分発のTGVのチケットと、レンヌからのバスチケットも買ってもらった。およそ2時間15分でレンヌには着く。

 レンヌからは16時45分のバスに乗る事になっていた。モンサンミッシェル到着は17時55分の予定だ。きっと着くころには美しい夕陽に映えるモンサンミッシェルが見えるわよと恵理さんが言ってくれた。

 恵理さんも一度だけ行った事があるらしい。とても素敵な所と聞いて何だか楽しみになってきた。初めて旅行に来たウキウキとした気分になってくる。

「何か困った事があったら電話してね」
 銀色の新幹線みたいな車体が停車するTGVのホームまで恵理さんがついて来てくれた。

「本当にありがとうございます。借りたお金は必ずお返ししますから」
 恵理さんに500ユーロ借りていた。

「いつでもいいわよ。それよりサインお願いね」
 望月先生の本を恵理さんから託されていた。

「はい。必ずサインしてもらいます」
「ありがとう。楽しみに待ってる。それから夕飯作ってくれてありがとう。茶わん蒸しに太巻き寿司なんて物凄く楽しみ」
「お口に合うといいんですが」
「キッチンも掃除してくれありがとう。物凄く助かっちゃった」
「いえ。こちらこそ、本当にお世話になりました。パリに戻ったらご挨拶に伺います」
「うん、待ってる。今日子ちゃん、頑張ってね」
 TGVが発車の時刻になって扉が閉まった。恵理さんがドア越しに手を降ってくれる。私も手を降った。TGVの車体が走り出して、恵理さんの姿がどんどん小さくなる。何だか泣きそうになった。
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