夜と遊ぶ
その展望フロアのあるビルから出て、
少し歩いた所にあるラブホテルに一夜とやって来た。



そのホテルは、酔っぱらった私が一夜に連れて来られたあのラブホテル。


そして、また同じ707号室。


「それ程前じゃないのに、ちょっと懐かしい」


部屋を見回すと、あの日と同じ通り。


まだベッドのカバーも、乱れず綺麗なまま。


「本当は、ラブホテルじゃなくて、ラグジュアリーホテルのスイートでも用意してあげたかったんだけど…。
あんまり持ち合わせが無くてごめんね。
こっそりと抜け出して来たから、金庫のある部屋に近付けなくて。
事前に財布の中確認しとけば良かった」


一夜はそう笑いながら、私の手を引きソファーへと腰を下ろす。


この人、クレジットカードとか持っていないのかな?


と、思ったけど、銀行口座が持てないくらいだから、それも無理なのだろう。



「私は一夜と一緒なら、何処でもいいよ。
それに、此処はラブホテルかもしれないけど、けっこう高いんじゃないの?」


フロントのパネルでチラッとしか見てないが、
宿泊料金で、3万円は超えていた。



「此処もうちのものだからね。
俺なら使いたい放題」


「そうなの?」


「そうそう。
気付いてなかった?
だから、前も事前にホテルの奴に言って、向こうからオートロックは掛けないで貰ったりしてたんだけど」


そういえば、前回、私は途中でこのラブホテルを昌也のマンションに行く為に抜けたし、
この人もケーキを買いに行ったりしていたな。

普通は、そうやってラブホテルは出入り出来ないのかな。


昔に、昌也と何度か来た事はあるけど、
途中で部屋から出ようとした事なかったから分からないな。


「まあ、ここのホテル代くらいなら持ってるから、払ってもいいけどね。
一応お忍びで来てるから、ホテルの奴に声掛けるのもあれだし」


扉入ってすぐの所に、料金を精算する機械みたいなものはあるけど、前回は、私が酔い潰れている間にでも、そうやってホテルの従業員とやり取りしていたのか。

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