オー!マイ・ハワイ!
 「ふふっ、そうは言ってないわよ。でもあなたの気持ち次第でしょ。ありのままのあなたでお話を楽しんできたらいいわ」

「はい」

 隆史のことは振り切ったつもりだった。でもいざ次の恋人を、という気分になれていないのは事実だった。 どこからか、すてきなひとが現れてこのうつうつとした気持ちがなくなればいいのに。婚約破棄されて、すっかり自信を無くしてしまったまなみは、そう考えることが増えた。

 それはいままでの自分からすれば信じられないほど受け身な考えだった。

 ミス富山に挑戦していた頃は、あんなに自信満々で、里穂にさえ心の中では楯突いていたのに。

 ハワイでその自分を取り戻そう、自分しか自分を幸せにしてやれない。必ずもう一度、自分の足で立ち上がる。そう奮い立たせた。 まなみは、1日目を里穂とのショッピングや食事に費やした。持ってきたお小遣いの半分近くを使ってしまったが、何とかなるだろうと楽観的だった。

 それよりも、自分だけでは絶対に経験できなかったことが、これからできる。その高揚感でいっぱいだった。

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