オー!マイ・ハワイ!
「由香は、ハワイに行きたいとよく言っていてね。サンドバーでダイビングをしたがっていたよ。ついに叶わなかったけど。修二くん、よかったら少し海にまいてやってくれないか。由香も喜ぶだろうから」

小さな巾着袋の紐をほどく。中の小さなビンを取り出すと、ほんの少しだけ白い粉が入っていた。

それが由香であることは容易に想像がついた。しばらくじっと見つめたあと、袋に戻して紐をきゅっと縛り直すと、そっとリュックにしまった。

「おじさん。由香、一緒に連れていきますね」

そういうと立ち上がり、お茶とお菓子のお礼を言って、由香の家を後にした。


ハワイに旅立ったのはそれから1週間後。由香も一緒にカバンに入れて。一緒に行けることが、なんだか嬉しかった。

英語で過ごすのは思いのほか大変で、ましてや一人暮らしもはじめて。目まぐるしく変わった環境についていくのが必死であっという間に毎日は過ぎた。

ハワイにきてずいぶん経ったが、感情はもどってこなかった。大学の友だちからは、冷たい奴と思われていたに違いない。

留学生活も半年経った頃 俺はサンドバーに行くことにした。

本当はいつまでも由香と一緒にいたかったのに、ふと立ち寄った旅行代理店でサンドバー行きの1泊2日のツアーに申し込むことになってしまったのだ。いまでも不思議なんだけど。

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