オー!マイ・ハワイ!
そう巾着袋に話しかけ、紐をほどいて小さなビンを取り出す。コルク詮をあけて、中身をそっと手のひらにのせた。

なかなか撒く勇気がなく、ギュッと拳を握りしめると、ほんのりそれが温かいような気がした。

「由香、好きだよ」

生きている間には言えなかった好きのふた文字。サンドバーまできてやっと言えた。すーっと息を吐いて手のひらを開くと、急に風にが吹いて、それはあっという間にハラハラと飛んでいった。

「待って……!!」

見ると、もう手の中には何も残っていなかった。何か体からふつふつと湧き上がってくる。それがだんだん溜まってきてマグマのように吹き出した。

「わぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」

「由香、ゆかーー!!」

「なんでお前が死ななきゃいけないんだよ!! なんでだよ!!」

「行かないでくれ、ひとりにしないでくれ!!」

「お前がいないとさみしいんだよー!!」

「戻ってきてくれよーー!!」

「ゆかーーーっ!!」

いままでの感情が全部湧き上がってきて、泣きながら叫び続けていた。
どれだけそこにいたのだろう。船べりに突っ伏して泣き続けていたが、いつの間にか眠っていたようだ。目を覚ますと、船長のじいさんの声がした。

「目が覚めたか。さぁそろそろ港に戻ろう」

もうすっかり夕方になっていて、温かいオレンジの光があたりを包みこんでいる。じいさんは船のエンジンをかけた。

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