笑顔が消える
友人・香菜恵2️⃣

それから数年が過ぎ
彩代は、tasteには
なくてはならない人になっていた。

そんな彩代から
「ねぇ、香菜恵は資産整理とか
聞いたことある?」
と、言われて
あまり詳しくはないが
聞いた事はあった。

そう伝えると彩代は
「修也さんが、同僚に言われたとかで
調べたりしているの。」
と、言っていたことは
覚えていた。
子供達にも今の家について訊ねたとか。

それから·····どのくらいかな

彩代の顔から笑顔が減ってきて
お客様や私達と接する時は
笑顔を見せているが·····
私は、太智にも話しながら
彩代にも何度も訊ねた。

その度 彩代は
「ごめん。少し疲れたのかな?年かな?」
と、言っていたが·····

土日には、修也さんと
ランチや食事に来ていたのに
一人で来るようになり
修也さんと出掛けていたのに
出掛けなくなり
段々と表情も悲しそうな
辛そうに。

私は、彩代を捕まえて
「彩代。
友達だと思っているのは
私だけなの?」
と、訊ねると
彩代は、私の顔を見て
ポロポロと泣き出して
あまりにも、悲しみに包まれた
彩代を抱きしめてしまった。

あの、三嶋さんが?
あんなに彩代を溺愛していた?
最初は、信じられなかった。

本当に三嶋さんの世界は
彩代で、出来ていると
言っても過言じゃない位に
三嶋さんは、彩代が大好きだ
オーラを出していたから。

太智も驚いていた。

tasteで、働き始めてから
元の体型に直ぐに戻っていた彩代。

幸せ太りしていたと言っていたが
全然変わっていなかったが
スマートな彩代に
うちの制服は凄く似合っていた。

真っ白なシャツ
紺のパンツ
黒と白のツートンの腰から長目の
エプロン姿が格好良い。

そんな彩代が
度を越して痩せて行く
見ていられなかった。

なんで、あんなに愛していた
彩代をこんなに苦しめるのか
こんな素敵な奥さんがいて
浮気をするのか
私には、理解出来なかった。

彩代を慰める事しか出来ない
自分が情けなかった。

しばらくすると
彩代が
「ごめん。香菜恵
今度の土曜日、お休み貰って良い?」
と、言ってきた。

ここの所
金、土、日は、仕事に入ってくれていた。
もちろん平日も。

「彩代居ないと困るけど
用事があるんでしょ?」
と、言うと、悲しい顔で
「修也さんが、マンションを見に行くと。
決まった?あの人と決めたマンションを。
私が、見る必要あるのかな?
私の意見なんか
何も入ってないのに。」と。

「何それ?行かなくて良いよ。
何を考えてるの三嶋さんは!!」
と、私が息巻いて言うと
彩代は、少し笑いながら
「もう、私の知っている
三嶋 修也ではないの。」
と、寂しそうに言う彩代が
たまらなく可哀想だった。

土曜日、ランチがはけた時間に
彩代からラインが来て
《彼女、若くて可愛いい人だった。》
と、きたから
《裏口からおいで。》
と、返して裏口で待つと
目を真っ赤にした彩代が現れて
抱きしめる。
「ごめん。忙しいのに。」
と、言う彩代に
「バカっ。彩代が大事。」
と、言いスタッフルームへと
連れて行くと
太智がホットミルクを
持ってきてくれた。
「あっ、ありがとうございます。
太智さん、すみません。」
と、彩代
「太智。ありがとう。」
と、心配してくれた太智に
伝えると
太智は、首を振りながら
「ゆっくりして」
と、彩代に言い。
私には、頷いた。

任せた。の合図だと思う。


二人の信頼関係が
羨ましい彩代だった。

自分達もそうだったと
悲しみに支配される。

何が行けなかったのか
まさか······
修也さんに裏切られる····なんて······
二人のアイコンタクト
彼女を想い、私に文句を言う
彼女の名前を呼ぶ
訂正するがバレバレだった。

なぜ、私ではない女性に
優しくするの?
なぜ、私は、こんなに軽視されるの?
なぜなの?修也さん。
こんな思いをさせられるなら
離婚して彼女とやり直せば良いのでは。
私を追い詰めて追い込んで
何が、楽しいのだろう

この数年泣かない日は無い
毎日、毎日、呆れる位に泣いている。
スパッと切れたら
楽になるのかな?

そんな風に悩んでいる彩代を
私は見ているしかなかった。
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