笑顔が消える
弁護士・赤木2️⃣

私(赤木)は、
「それでは、お掛け下さい。」
と、各自座る場所を指摘した。

あえて修也君にふれずに·······

それから、自分の紹介と
誰からの依頼であるかを話して

 ≡報告致します≡

①三嶋 修也さんと
柳瀬 彩代さんの離婚は成立済みです。

②お二人の財産は二等分致しました。
マンション購入の手付金は
夫婦時の資産から払っていますので
その金額は修也さん側より
差し引いております。

③新しいマンションの今後は
三嶋 修也さんの責任とします。

④ご家族の家と土地の売却は、
夫婦と三人の子供達への配分も決まり
売却時にお支払い致します。
手続きは終わっていますから
まもなくかと。

⑤三嶋 修也さん
柳瀬 彩代さんへの慰謝料請求の
支払いは今月中にお願いします。

⑥田中 美弥さん
柳瀬 彩代さんへの精神的苦痛料は
振込済みですので
領収書をお帰りにお渡しします。

⑦三嶋 修也さん
田中 美弥さんへの慰謝料請求の
支払いの件も今月中にお願いします。

「以上が、三嶋 修也さん
柳瀬 彩代さんの離婚で
定まったことです。
何か質問等はありませんか?」
と、私の言葉に修が
「赤木。ありがとう。
本当に助かった。」
と、お礼を言い。

それから·····

「彩代さん、本当に申し訳なかった。
彩代さんには、本当に私も春も
良くしてもらいました。
本当にこれほど出来た嫁は
いないと思っています。
結婚してから30年
父の日、母の日、
そして私達の誕生日、
クリスマスの贈り物を
欠かさず。
正直、バレンタインやホワイトデーは
恥ずかしかったが
いつのまにか、楽しみにしている
自分がいたんだ。
この五年間も必ず月に一度は
顔を見せに来てくれて
春が息子がいない事に
落胆を見せると
春に謝り、息子は、仕事が
忙しくて。また一緒にきますね
と······どんな気持ちで
毎月、毎月、言っていたのかと
思うと······
本当にたまらない。すまない。

私や春を気にかけてくれて
ありがとう。
彩代さんには、幸せになって
貰いたい。
私と春の大切な義娘だから。
孫達を傷つけてすまない。
私と春の大事に孫達なのに。」
と、修は涙を我慢しながら
思いを伝えた。
彩代さんは、修に頭を下げてから
そっと抱きしめて
「お義父様。
ありがとうございます。
お義父様、お義母様の娘に
なれて本当に幸せでした。
お体には十分気をつけて下さい。」
と、泣きながら話す彩代さんに
「彩代さんもな。」
と、修は言っていた。

過ちが大切な家庭を崩し
バラバラにした。
その代償は、大きい。

自分達の身勝手な行動が、想いが
こんな風に関係ない人達を
巻き込んで、悲しめて苦しめた。

それを修は、二人に知らしめたのだろう。
二度と、間違いを起こさないように
二度と、関係ない人達を苦しめないように

九人が帰った後
私は、中々会議室から
出る事が、出来なかった。
< 31 / 57 >

この作品をシェア

pagetop