笑顔が消える
柳瀬家①

あの冷静な
暁さんが緊張しているから
笑ってしまう······


「大丈夫かな?」と。
「クスクスっ、大丈夫。
暁さんは、とても素敵な方ですから
返って、私で良いのかと
心配されるかも。」
と、言うと
私の手を取り握りしめながら
「彩代が良いんだ。
彩代以外とかあり得ない。」
と、運転しながら真面目に言う暁さんに
「危ないよ。」
と、伝えるけど
「大丈夫。安全運転だから。」
と、返す暁さんに
「私も暁さんだから
もう一度と、考えられました。」
と、伝えると
「どうして今、言うかな。
抱き締めてキスしたくなる。」
と、言われて真っ赤になる私を
今度は暁さんが笑っていた。

もぅ、本当に、この人は
と、思うが。
暁さんは、素直に口に出して
伝えてくれるから嬉しい。

少し遠い私の実家に向かう
道中は、温かな雰囲気に包まれていた。

駐車場に車を止めて 実家へ

ブザーを鳴らすと
「はい。」と、母の声
「私よ。彩代。」
と、言うと
玄関が開き母の顔。

母を見た途端
  涙が溢れてきて
「あらあら。」
と、母が抱き締めてくれた。
「彩代。お帰り。
   大変だったね。」
と、言ってくれる母に
何度も首を横に振る

私の横にいる暁さんは、
母に頭を下げてから

「小野 暁と申します。」と。

「ごめんなさい。
私は、彩代の母親で
柳瀬 佐代子ともうします。」
と、挨拶をする母
「お母さん、ごめんなさい。
暁さんも、ごめんなさい。」
と、彩代が言うと
暁さんは、ハンカチて涙を拭きながら
頭をポンポンとしてくれた。
そんな些細な動作が嬉しくて
暁さんを見上げると
ん?と言う顔をするから
首を振りながら
「ありがとう。」
と、伝えた。
そんな私達を母は、嬉しそうに見て
「さあ、上がって。」
と、言われて
二人で微笑みあって家の中へ。

母さんの後に続きリビングへ。
中には、兄の和希と兄嫁の優香ちゃん
空也と真代がいた。

暁さんは、リビングに入り
「小野 暁ともうします。」
と、頭を下げる。
兄も子供達も唖然······
私がクスクス笑うと
暁さんが、ん?と困った顔で私を
見るから
「暁さんが、イケメンでびっくりしてる。」
と、言うと暁さんもびっくりして
お母さんが
「私も驚いたけど。
ほら、和希挨拶しなさい。」
と、言われて
「あっ。兄の和希です。
彩代が辛い思いをしている間
支えてもらったとききました。
ありがとうございます。
どうか、妹を宜しくお願い致します。」
と、兄が言うと
「そんな大げさなものでは
ありません。
ただ、私が彩代さんのそばに
いたかっただけです。
こちらこそ、宜しくお願い致します。」
と、言うと
優香ちゃんも
「義理の姉になります。
優香です。宜しくお願いします。」
と、頭を下げると
暁さんも頭を下げ
「長男の空也です。」
「長女の真代です。」
と、二人が頭を下げる。
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