笑顔が消える
母から

土曜日に奥様と挨拶をかわす。

とてもスマートな綺麗な方で
驚いた。

もっと所帯じみた主婦の方だと
勝手に思っていた。

奥様を気にしながら
室内を案内していく
だが、奥様は何も言葉を発する事なく
修也さんが訊ねるが
「あなたが気に入れば良いのでは?」
「あなたと田中さんで決めたのだから」
と、言った。

私は、奥様は知ってらっしゃると
思った。

止めなければ思うが
止める事ができずに
修也さんと出会って五年になるとき
母から
「あなた、いつまで一人でいるの?
恋人や好きな人はいないの?
いないなら、見合いをしなさい。」
と、怒りを含めた連絡があった。

私の両親は、大きな牧場を営んでいて
弟夫婦が一緒にやっているが
弟のお嫁さんも妊娠、子育てで
大変らしく戻って手伝って欲しいと。

お見合いの相手も
牧場に詳しい人で私と同じ年らしい。

母から
「人様に顔向けできないような事
しているんじゃないよね?」
と、言われて
思わず泣いてしまい
全てを母に話した。

母に、
奥様に申し訳ないと
ひどく泣かれてしまい

こんな年にもなって
親を泣かせるなんてと
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


◇◇◇ 冒頭へ ◇◇◇
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