最強総長は姫を眠らせない。🌹


「んっ…」
 しばらくして目が覚めると、私は光がない闇の倉庫の中で座ったまま寝かされていた。

 口、布でリボンみたいに結ばれてる…?

 あ、両手も後ろで紐で縛られて……。

「ボサ女、起きたか」

 オレンジ色のロン毛。
 両耳に十字架のピアス。
 6代目総長闇十字(やみじゅうじ)と背中に書かれた甘橙色の字を金色で囲ったボルドーの特攻服。

 私は両目を見開く。

 え、全国トップ3の玉樹嵐(たまきあらし)くん?

 カチッ。
 (あらし)くんはかっこよく電子タバコを吸う。

「ウチのナンバー3手荒くてすまんね。カラオケ店以来、5ヶ月ぶりってところだな」

「親衛隊補佐に裏ルートから調べさせたが」
「お前、伝説の暴走族紅嶺(ぐれい)の元初代総長緋本琳(ひもとりん)の娘だったとはな、驚いたよ」

 私はひどく動揺する。

「俺には(しず)先輩っていう師匠がいた」
「俺にとっては暴走族の世界に入れてくれた憧れの先輩だった」
「それなのにお前の親父に殴り殺された」

 え……。

「だから」

 (あらし)くんは電子タバコの火を消し、特攻服の胸ポケットに入れ、木刀の先を私の首に突きつける。

「暴走族鬼雪(おにゆき)共々、消えてもらう」
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