【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「密猟って――――そんなにも悪いことなの?」


 クララの声が、身体が震えた。ドレスの裾を握りしめ、立っているのもやっとだった。


「ごめんなさい。わたしには分からない。命をもって償わないといけないほどの罪なのか――――そもそも、この世にそれ程の罪があるのか」


 ここで言っても仕方がないことは分かっている。罪を、罰を決めているのはフリードたちではない。けれど、どうしても吐き出したかった。


「クララ……ボク達も同じ気持ちだよ。だけど、密猟は王に対して盗みを働いたのと同じ。全くお咎めなしってわけにはいかない。罰の程度が問題なだけで」


 そんなこと、クララだって分かっていた。
 けれど、気持ちはそう簡単に割り切れないのだ。


「フリード」

「――――あぁ、うん。ボクはこれから、カールと話をしてくるよ。これからのこと、相談しなくちゃならないし」


 そう言ってフリードは、静かに執務室を後にした。
 残ったのはクララとコーエンの二人きり。
 その途端、先程まで堪えていた涙がクララの瞳に溢れ出した。


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