【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
 それからの数日間は、膨大な資料を読み込むために時間を費やした。

 資料を読んでわかったのは、マッケンジー家の財政状況も、彼の領地の財政状況も思ったよりは悪くない。かといって、密猟で儲けたという事実も読み取れない。どうして密猟に手を染めたのか、その理由はちっとも分からなかった。

 おまけにそれから数日後、シリウスの両親は刑部の取り調べに対して、自分たちが領民に密猟の許可を――――指示をしていたと認めてしまったのだ。


「さすがにお咎めなし、ってわけにはいかないだろう」


 コーエンとフリードは苦々し気にため息を吐く。クララも胸が強く痛んだ。


「マッケンジー家は密猟を行った者たちへの減刑と引き換えに、自分たちへの厳罰を望んでいる。里の住人は何も悪くない。全て指示を出した自分が悪いのだから、と」

「だけど、密猟者の罰って――――」

「良くて体罰。最悪死刑だね。少なくとも王都を追われることは間違いない。貴族が密猟の許可を出したという事例が無いから、どうなるかはわからないけど」


 まるで心臓が握りつぶされるかのような心地。眉間に皺を寄せ、クララは浅く呼吸を繰り返す。

 フリードは、シリウスを見捨てるのだろうか。彼にそんなつもりはなくとも、『仕方がない』と言われているような気がして、クララは拳をギュッと握った。


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