【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
 カールは小ばかにしたような笑みを浮かべながら、クララを見下ろした。すると蛇に睨まれた蛙の如く、身体が知らずビクビクと震えてしまう。


(くそぅ……己の身体が恨めしい)


 悔し気に歯噛みしながら、クララはカールを睨みつけた。


「つまりはそういうことだ。俺が指揮官を務めれば、皆の士気が上がる。緊張感が増す。よって、スムーズかつ完璧に任務を遂行できる。これが俺とフリードとの差だ」


 満足そうに笑っているカールがあまりにも憎たらしい。何か反論できる余地はないか考えあぐねていると、シリウスが何やら憐みの視線を送って来た。諦めろ、と表情が物語っている。


「スカイフォール様、異論はございませんね?」

「…………はい」


 止めとばかりに降り注ぐ、イゾーレの氷のような視線。クララの心がポキッと音を立てて折れてしまった。



****



「なるほど、そんなことがあったんだね」

「それでお前は、スゴスゴと帰って来たと」


 ソファに沈み込み、打ちひしがれているクララの隣にフリードが腰掛ける。コーエンの呆れたような声音が、クララの心を抉った。


「いえ、その後すぐにヨハネス様の元に赴きました。それで交渉を始めたんですが――――」



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