【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
これは見栄っ張りでも何でもない、本当の話で。
先程、儀礼官との打ち合わせにクララが奔走していた際、呼び止められたヨハネスに無理やりプレゼントをされたのだ。
(『綺麗な髪がこれ以上乱れないように』なんて言ってたけど)
そんなものを持ち歩いている辺り、ヨハネスの女癖が悪いのは本当らしい。どんな髪飾りが贈られたのかも見えないが、クララはそんなことを思った。
「まぁ……見事なピンクダイヤですこと」
そう声を上げたのは、意外なことにイゾーレだった。
着けられた瞬間、ずっしりと重く、結構大きな石なのではないか。そんな想像はしていたのだが、まさかダイヤだったとは。
「わっ……私だってハンスから石を戴いているわ」
そう言ってレイチェルは小刻みに肩を震わせながら、顔を真っ赤にしている。
じゃぁどれよ?と尋ねるのは野暮だろう。レイチェルはあれこれとジュエリーを身に着けているが、今日の主役はブローチにすると決めたのだろう。他は引き合いに出すのが憚られる、小さな宝石ばかりだ。
「それに、あなたはフリード殿下から宝石を戴いていないでしょう?」
「戴いてるわよ」
まるで勝ち誇ったかのように口にするレイチェルに、クララはピシャリと言い放つ。
(コーエン……ごめん。本当にごめん)
心の中で謝罪の言葉を述べながら、クララはそっと耳元で揺れるイヤリングを指さした。
「だってこのイヤリング、殿下からの贈り物だもの」
先程までは罪悪感に苛まれていたのに、口にしてしまえば、案外そんな気持ちは薄れていく。
(そうよ……だってこれは、私をここに縫い留めるためのジュエリーだもの。実際の贈り主は殿下かもしれないし、殿下から貰ったも同義じゃない?)
沸々と湧き上がる様々な感情を胸に、クララは凛と笑ったのだった。
先程、儀礼官との打ち合わせにクララが奔走していた際、呼び止められたヨハネスに無理やりプレゼントをされたのだ。
(『綺麗な髪がこれ以上乱れないように』なんて言ってたけど)
そんなものを持ち歩いている辺り、ヨハネスの女癖が悪いのは本当らしい。どんな髪飾りが贈られたのかも見えないが、クララはそんなことを思った。
「まぁ……見事なピンクダイヤですこと」
そう声を上げたのは、意外なことにイゾーレだった。
着けられた瞬間、ずっしりと重く、結構大きな石なのではないか。そんな想像はしていたのだが、まさかダイヤだったとは。
「わっ……私だってハンスから石を戴いているわ」
そう言ってレイチェルは小刻みに肩を震わせながら、顔を真っ赤にしている。
じゃぁどれよ?と尋ねるのは野暮だろう。レイチェルはあれこれとジュエリーを身に着けているが、今日の主役はブローチにすると決めたのだろう。他は引き合いに出すのが憚られる、小さな宝石ばかりだ。
「それに、あなたはフリード殿下から宝石を戴いていないでしょう?」
「戴いてるわよ」
まるで勝ち誇ったかのように口にするレイチェルに、クララはピシャリと言い放つ。
(コーエン……ごめん。本当にごめん)
心の中で謝罪の言葉を述べながら、クララはそっと耳元で揺れるイヤリングを指さした。
「だってこのイヤリング、殿下からの贈り物だもの」
先程までは罪悪感に苛まれていたのに、口にしてしまえば、案外そんな気持ちは薄れていく。
(そうよ……だってこれは、私をここに縫い留めるためのジュエリーだもの。実際の贈り主は殿下かもしれないし、殿下から貰ったも同義じゃない?)
沸々と湧き上がる様々な感情を胸に、クララは凛と笑ったのだった。