【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「え、そうなの? あなた、私のこと、そんな風に思っていたの?」
 それを耳にしたラーシュは、クスっと笑う。
「なんだろう。盛大な公開告白を聞いたような気分になった。というわけで、会長。カリーネのことはあきらめてくれ」

「残念ながら、あきらめるか。だがな、カリーネ嬢。ハイケのところが嫌になったら、いつでもこのボルネマン商会に来なさい」

「あ、はい。では、師匠と大喧嘩したとき、お世話になります」

 そこでラーシュがまた笑った。

「ラーシュさん、笑い過ぎです」

「いや。すまない。カリーネ。モテる女は辛いな」

「私、全くモテませんよ? 身体が貧相ってよく言われてますし。だから、婚約者も奪われたって」

「うん、ごめん。そういう意味じゃないんだ」
 ラーシュは口元を押さえながら、必死で笑いを堪えていた。
 そんな彼を、カリーネは黙ってむっと頬を膨らませながら見つめていた。
< 112 / 222 >

この作品をシェア

pagetop