【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「そうなのよ、外装には貼ってなくて」

「違法魔導具、ではないんですよね?」
 違法魔導具とはその名の通り、国に認められていない魔導具のこと。魔導具を製造し売る際には、国へ魔導具を販売するための届けを出す必要がある。その届けをせずに販売する魔導具のことを違法魔導具と呼んでいる。

「もしかして、そうなのかしら?」
 不安そうになるハイケ。違法魔導具の修理を引き受けてしまったとなれば、ハイケの経歴にも傷がつく。
 カリーネは、ハイケが修理している魔導具の外装を手にした。本来であれば、外から見えるところに銘板が貼り付けてあるのが一般的。

「あ、師匠。この外装の裏面に貼ってありました。げ、ラベルゴ商会だ……。うわ、しかも魔導パン焼き機」

 カリーネから思わず「げ」という言葉が漏れてしまうのにも理由はある。何しろラベルゴ商会。カリーネから婚約者を奪った、ではなく、カリーネの婚約解消の原因となったブラント子爵家と繋がりのある商会。今思えば、一方的に婚約解消の通知を送りつけてきたのだから、婚約破棄とも取れなくはない。最終的に合意したから、世間的には婚約解消ということになっているが。まあ、破棄でも解消でもどちらでもいい。
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