【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
7.伯爵令嬢、魔導具鑑定士を名乗る
 目の前のラーシュにいきなりそのようなことを言われては、カリーネもポカンとするしかない。

「ラーシュ。いきなり、何を言っているの?」

「いきなりじゃない。前々から考えていたことだ。カリーネをただの魔導具士にしておくのはもったいない。もっと、魔導具に関して、幅広くやってもらいたい」

 うーんとハイケも腕を組む。この半年、彼女の働きぶりを見てきたが、ラーシュの言うことも一理ある。自分を師匠と呼んで慕ってくれるのは純粋に嬉しいが、このままここでハイケの下にいても、カリーネの能力を生かしきれないのではないか、と思ったことは多々ある。

「カリーネはどうなの?」
 結局、周囲が何を口にしても、本当に必要なのは本人の意思。

「え、あ。はぁ。まぁ。そうですね。魔導具についていろいろできることがあれば、やってみたいとは思いますが。ですが、師匠の元を離れるってことは今のところ、考えていなくて……」

「まだ、ここに来て半年しか経っていないしな。心細い気持ちはわからないでもない。別にここから追い出そうとしているわけではない。今は、学校の無い日にハイケの下で魔導具の修理を行っているみたいだが、その時間を少し他のことにも使ってみないか、という話だ」

「他の事……」

「それが、君が口にした魔導具の評価だ。むしろ、君が言っているその魔導具評価制度は、カリーネがいなければ成り立たない」

「カリーネはどう思うの? ラーシュがここまで言うことも珍しいわよ」

< 138 / 222 >

この作品をシェア

pagetop