夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
ドンッ!と何かにぶつかりしりもちをついた。
『おっと。大丈夫?』
手を差し出してくれたお兄さんにぶつかったとわかった。
ふぇ…うっ、うわーん
『ご、ごめんね。痛かったよね?どこが痛いのかな?』
膝をつき、目線を合わせて頭を撫でてくれるお兄さんは少し困ったような顔をしていた。
『ママときょうちゃんがいないの…うっ…ふぇ…』
『ママとはぐれちゃったのか…。じゃあ一緒に探してあげるよ。歩けるかい?』
『うん…』と言ったら、お兄さんが手を繋いでくれた。
『お母さんとはどの辺りまで一緒にいたか覚えてる?』
声を掛けられたけれど、首を横に振るのが精一杯で、また、不安な気持ちが溢れてきたら泣き出してしまった。
『泣かないで。このデパートの中にいるだろうからお母さんたちを呼び出してもらおう。ほら、おいでよ』
お兄さんはしゃがんだと思ったら、私を抱き上げて笑顔で『高い方がお母さんを探しやすいだろう。行こう』と言ってくれた。
その時に間近に見たお兄さんはすごく格好良くて王子様みたいだった…。