夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
京子はもう思い出にしても許してくれるか?そんなことを仏壇に向かい手を合わせ心の中で呟く。
これからも変わらない京子への想いとは別に乃愛への想いを募らせていってもいいだろうか…。
ただ、俺が気持ちを伝えることが乃愛にとっては負担になるのではないかとの恐れもある。
叔父という立場と俺たちの18歳という年齢差が障害でもある。
自分の気持ちに素直になりたいと思いつつも、これ程よくしてくれている義兄や義姉に対しての複雑な思いもあり、素直にはなれなかった。
考え込んでいたらしく乃愛が俺の顔の前で手を振り、名前を呼ばれた。
「卓人さん…卓人さん。どうかしましたか?」
「いや…ごめん。どうもしないよ。何?」
「今日は母が出掛けているので夕飯は簡単なものでいいですか?」
「宮子さんたちがいないなら悪いからご飯はいいよ。もう帰るから…」
帰ろうと立ち上がると、乃愛が俺の腕に手を伸ばしてきて引き留められる。