夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

同居を始めて2週間が経つ頃、乃愛が語る彼女の夢に不思議なものを感じていた。

乃愛が目を閉じたまま俺の胸の辺りでもぞもぞしながら呟く声に目を覚ました時「…たく…とさん……」と名前を呼ばれた。

「乃愛…起きたの?」という問いかけで目を覚ましたらしい乃愛は「えっ。なんだ…夢…」とハッとしていた。

「嬉しそうな顔してた。どんな夢を見てたの?」と聞くと返ってきた言葉に暗示的なものを感じた。

「えへへ、お父さんと腕を組んで、卓人さんのところまで歩いていくの。きっとバージンロードだったんだと思う」という。

一日でも早くに乃愛の花嫁姿をみたい俺は提案した。

「じゃあ起きて今日は結婚式場の見学にでも行くか。今見に行っても式を挙げられるのはいつになるかな…」と言って二人で気になる式場を見に行けば、ちょうどキャンセルが出たということで、2週間後に結婚式ができることになった。

こんなにすぐに乃愛のウエディングドレスが見られるとは夢のお陰だ。

同居から1ヶ月後には結婚式も行い、急ではあったが新婚旅行にも行けて、何もかも順調すぎるほどだった。

乃愛を近くに感じるだけで、幸せだと実感する。

朝目覚めると俺の腕の中にいる乃愛が気持ち良さそうな寝息をたてている。
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