寡黙なトキくんの甘い溺愛
ガチャ――
ドアを閉めて廊下に出る。
う……真っ暗だ……っ。
出る際に持ってきたカーディガンを肩から羽織り、両腕を胸の前で交差させて前へ進む。
いや、こ、怖いなんて、そんなんじゃないけどね……っ。
だけど、知らない場所で外は真っ暗。廊下こそは明るいけど、窓にはカーテンがなくて、外の様子が丸見え。
チラッと見た時に、もし幽霊が写っていたら……
「あれ?倉掛さん??」
「う、ひゃあ!?」
びっ、ビックリした!
いきなり後ろから声をかけられて、飛び跳ねて驚いてしまった私。
きちんと名前で呼ばれたし、幽霊じゃないよね?
そう思っていると、
「驚かせてごめん。えっと、話すのは初めてだよね?
俺、B組の林。ドッチお疲れ様」
「え、あ……C組の倉掛ですっ。ドッチ楽しかったね、お疲れ様」
林くん、初めて見るなぁ……。
でも林くんはなんで私の事を知ってくれてるんだろう?