寡黙なトキくんの甘い溺愛
受験の日に倉掛さんに会って、そして恋をした。
嬉しそうにする顔も、悲しそうにする顔も、全てが愛しく見えて……。
一目惚れってやつなんだろうけど、内面に惹かれたのも事実で。
早く会いたいって思ったら、合格発表の日に、彼女と友達を見かけた。
その時に――聞いたんだ。
『砂那、高校入ったら、何したい?』
『ん~……あのね、恋……してみたい』
『え!?どうしたの砂那がそんな事いうなんて!
ちょっと、どんなタイプが好きなのよ。教えなさいよ~』
『え、えへへ、えっとね……』
恥ずかしそうに俯く君が言ったのは、こんな言葉。
『いざと言うときに頼りになるカッコいい人』
そう君が言った。
そして、俺は思ったんだ。
『(今の俺には、当てはまらない――)』
今の俺じゃダメだと思った。
だって俺は……見た目からしてダサいし、身長も低いし、何より……自分に自信がなかった。
もしも倉掛さんが不良に絡まれたら?
他の男に言い寄られたら?
『守れない、よな……こんな俺じゃ。
見た目から舐められそうだし……』
俺自身がもっとかっこよくならなきゃ、強くならなきゃって思って……イメチェンした。
牛乳もダメ元で大量に飲んで、筋トレもした。
運動もできないと、と思って、入学式までにたくさん習い事を入れた。
そして、だんだん自分に自信がついた、そんな時――
俺は君と、再会したんだ。