寡黙なトキくんの甘い溺愛
「……トキくん?」
「え……あ、うん。ごめん。もう大丈夫」
「私も、いつまでも足に乗っちゃって……ごめんね。降りるね」
ヨイショと可愛い掛け声をして、倉掛さんは俺から降りる。
立ち上がった倉掛さんが、俺に「ど、どうぞ」と遠慮がちに手を伸ばした。
「立てる?無理はしなくていいからね」
「うん……立ちたい」
その手を、握るためなら。
「よいしょっ、トキくん。大きいだけあって重たいね!筋肉がすごいのかな?」
「……見る?筋肉」
「え、遠慮しておきます……」
恥ずかしそうに手で顔を隠す倉掛さん。その姿が可愛くて、笑ってしまった。
すると「もう平気なの?」と倉掛さんが心配そうに俺を見た。そういや、俺が調子悪いと勘違いしてたっけ……。
「どこも悪くないよ。元気だから」
「そ、そう?ならいいんだけど……」
「むしろ倉掛さんは、どうしてここに?」