寡黙なトキくんの甘い溺愛
地味だった初恋の男の子に久しぶりに再会したら、とんでもないイケメンになっていて……
私とは、真逆の人になっていた。
地味な私と、地味だった男の子。
私とは違う、私とは正反対――女子が放っておかない遠い存在の人。
「(そんな事って、ある……?)」
呆然とする私に、吾妻くんは「俺さ」と話を続けた。
「また……会いたかった。
河原で泣く君が、今は笑ってるかなって……考えたりして」
「……」
「今日、会えてよかった。
名前は……ごめん。受験票を拾った時に、君の名前が見えたんだ」
「……」
「あの、倉掛さん……?」
「! あ、その……ごめん、ちょっとビックリ、してて……」
吾妻くんは心配そうな目で私を見た。だけど――
やめて。
今の私を、見ないで。
「(私、最低だ……っ)」