寡黙なトキくんの甘い溺愛
「(トキくん、私と二人きりになりたかったって、事?なんだよね……?)」
よく考えれば、こんな場所、私みたいに何も考えずに来るか、用事があってくるかしかない。トキくんにいたっては前者は考えられないので――後者。私と話をする用事があって、きっと今、ここにいる。
「トキくん……その、授業、始まっちゃうよ?」
戻ろう――とは言わなかった。あえて。
だって、トキくんが私に何の話があるのか、興味があったから。そして、その先を期待していたから。もしかしたら、この前の告白まがいの事がスッキリするんじゃないかって。
告白まがい、から、告白になるんじゃないかって。
そんな淡い期待を抱いて――
だけど、違った。
次にトキくんの口から出て来たのは、私の思ってもみなかった言葉だった。