寡黙なトキくんの甘い溺愛
「あの……それは……」
さっきしずかちゃんと話して、決めたこと。
これから向き合うって、自分自身と向き合って大橋くんに返事をするって、決めたこと。
トキくん、本当だよ?
私、これから頑張ろうって、本当にそう思ってたの――
「……っ」
聞かれてもいないことを、言ってしまいそうになる。トキくんがどういう気持ちで私に聞いてきたのかも知らないで、私は、勝手に自分の心の中で言い訳をしていた。
そして――
「ごめん、砂那。こんなこと聞いて……でも、」
「……いで」
「え?」
私の口の中に籠った声は、トキくんの耳には届かなかった。私の声が、トキくんまで届かなった。
そのことが、今の私には変に堪えてしまって、目じりにジワジワと涙がたまるのが分かった。
そして――