寡黙なトキくんの甘い溺愛
グルグルと思考をめぐらせていると、トキくんが「ごめん、大橋から聞いたんだ」と自ら白状してくれた。
「大橋くんが……?」
「うん。それで…………」
「(トキくん?)」
やっぱり、トキくんの様子がなんか変だ。元々寡黙だったけど、こんなにも会話が途切れるなんて事は珍しい。
大丈夫?
どこか調子悪い?
そう言おうと動かし始めた口は、次のトキくんの言葉で、固まってしまった。
「その……ごめん、ストレートに聞くね。大橋に返事、した?」
「え……?」
「もしかして、まだ……?」
「……」
頭が真っ白になったって、こういう事を言うんだと思う。
だって、トキくんの言っている内容は、私がずっと迷っていた事で。なんて返事をすればいいか悩んでいた事で――その事を、まさか好きな人に指摘されるとは、思ってもみなかった。