【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「あの……いいんですか?ベルジェ殿下」

「え……?」

「本当はわたくしではなく、お姉様と一緒にパーティーに出たかったのではないですか?」

「……!」

「今からでもモイセス様に頼んで、変えてもらいましょうか?」


もしかしたらベルジェも同じ気持ちなのではないかと思っていた。
それにモイセスとなら安心して参加出来るだろう。
しかし返ってきたのは意外な言葉だった。


「いや……俺はジュリエット嬢と参加したい」

「そんなに気を遣わなくても……」

「ーーー違うんだッ!!」

「………!」


勢いよく否定された事に驚いてしまう。
しかしベルジェは「すまない……」と言った後に、唇を閉じたり開いたりと懸命に何かを訴えかけているようだ。


「……っ」

「あの…………ベルジェ殿下?」

「すまない、でも……本当は俺はッ」

「ーーーーベルジェ!いつドレスを買いに行くの!?」

「リロイ様……」

「~~~っ!!」


リロイが嬉しそうに此方に手を振っている。
ベルジェは額を押さえながら思い悩んでいるようだ。
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