【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「ジュリエット嬢も勿論一緒に行くでしょう?」

「ですが、私は……」

「何でこのわたくしが子爵令嬢と一緒に買い物をしなければなりませんのッ!?絶対に嫌ですわ」


キャロラインが此方をキツく睨み付ける。
ベルジェは人前でなければ立派な淑女だと言うが、気性が激しい我儘王女様という印象は拭えない。
恐らくリロイと二人きりでドレスを選びたいう意味合いが含まれているのではないだろうかと推察出来るが、この言い方では誤解を与えかねない。


「はぁ…………じゃあ僕が勝手に選んでくるからキャロラインは来なくていいよ」

「なっ……!」

「そんな風に言われてジュリエット嬢も気分が悪いだろうしね」

「……ッ」

「…………私は別に」

「それに一緒に店に行ってもキャロラインが、あーじゃないこうじゃないって、いつも煩いしさ……本当、そういうの聞いてるだけで嫌な気分になるし」

「べっ、別に構いわせんわッ!!精々わたくしが気にいるようなドレスを選ぶ事ですわねッ!!」

「ジュリエット嬢、ベルジェ、向こうで予定を決めよう」


苛立つキャロラインを無視したリロイに手を引かれるまま、少し離れた場所に向かう。
詰まらなそうなリロイの顔……キャロラインが絡んだ時だけ、リロイの仮面は簡単に剥がれてしまうような気がした。

不機嫌そうにツンツンと花を突いているリロイにベルジェが声を掛ける。
< 124 / 229 >

この作品をシェア

pagetop