【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
そして社交界にはマルクルスを非難する声が上がった。
令嬢達からは勿論、姑息な手を使いルビーに近づいたこともあり、令息達からの攻撃も凄まじいものだったようだ。

(ジュリエット嬢は……これからどうするつもりなのだろうか)

ソワソワした気持ちで過ごしていると「カイネラ子爵邸に行ってはどうだ?」と上機嫌な父に言われて、これはチャンスだと思った。

(俺は、まだ諦めなくてもいいのだろうか……)

このタイミングでジュリエットが婚約を破棄した事が運命のように感じていた。

モイセスには「ルビー嬢と仲良くなれたし、ジュリエット嬢が心配だから」と説明して「父の意向もあるから」と適当な言い訳を頭に並べながら、モイセスと共にカイネラ子爵邸に通うようになった。

実際、ルビーはモイセスに会う事が出来る事を喜び、その様子を見たカイネラ子爵達も嬉しそうにしていた。

そしてマルクルスの件をキッカケに随分と姉妹仲は良くなったようだ。
以前とは雰囲気の違うジュリエットに戸惑いはあったが、小動物のように活発に動き回る彼女は見ていて飽きなかった。

この選択が思わぬ事態を巻き起こしていくとも知らずに浮かれていたのだった。
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