闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「まずくても飲めるなら血液パックでいくしかないわね」

「いや、まずくて全部は無理そうなんだが……?」


 どうにかしてくれと言わんばかりに櫂人は困り果てた様な顔をする。


「じゃあ、その血液パックに恋華さんの血を少しだけ入れてみる? そういう方法で味をまともにする吸血鬼もいるらしいわ」

「私の血を?」

「ええ、その場合はほんの一滴くらいで良いらしいから」

「それくらいなら……」


 私が了承の言葉を口にすると、久島先生は何かを思い出したように手をぽん、と叩いた。


「そうだ。ついでと言ってはなんだけど、研究用にあなたの血を採血させてもらっても良いかしら? 採血程度の血なら治療に影響はないはずだから」

「いいですけど……研究用ですか?」


 一体何の? と首を傾けると、久島先生は立ち上がって準備を始めながら説明してくれる。
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