闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「あのね――」

「やっぱり嘘なんじゃない!」


 答えようとしたけれど、言葉が被せられる。

 少し考え込んで間が空いてしまったのを肯定と取られたらしい。


「たまにいるのよね。あなたみたいに妄言を吐いて黒王子に迷惑かける人!」

「いくら先輩がカッコイイからって、嘘ついてまで彼女のふりするのって頭おかしいんじゃない?」

「私たちにとっても迷惑なのよ!」


 次々と浴びせられる言葉に、私は怒りを通り越して呆れていた。

 彼女たちの言い分はある意味正しい。

 でもそれは、本当に私が嘘をついていた場合だ。

 今嘘じゃないことを証明する術はないけれど、いくら何でも一方的すぎるんじゃないかな?

 それに、彼女たちの言い分が正しかったとしても、殺人鬼が潜むと言われている街に鞄を隠すようなことは明らかにやり過ぎだ。
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