闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「そうね。でも、ヴァンピールになってしまう一歩手前の状態を保つ(すべ)があるの」

「保つ術?」

「ヴァンピールになってしまう前に血を抜くことよ」

「それって……」


 血を抜くこと……つまり、瀉血。

 久島先生の言うことが全て本当だとしたら、私は多血症ではなくヴァンピールにならないよう瀉血という治療を受けていたことになる。


「血を抜くと、新しく作られるのは人間の血よ。だから、またその血を侵食するためにひと月の猶予が生まれるの」


 説明を聞きながら理解した。

 そっか、だから久島先生は真人さんが怪しいって言ったんだ。

 瀉血という処置を指示していた真人さんが、何も知らずに治療をしていたはずがないから……。
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