闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「……私がヴァンピール一歩手前の状態だということは紛れもない事実なんですね?」

「そうよ」


 有り得ないと突っぱねたいけれど、否定できるだけの確かな証拠がない。

 認めたくはないけれど、認めざるを得ない状況に私はギュッと目を閉じて感情の荒波を押し込めた。


 私は多血症という病気じゃなくて、ヴァンピール一歩手前の状態。

 真人さんが瀉血という方法で、私がヴァンピールになってしまわない様にしていた。

 それは、紛れもない事実なんだ。


「……」


 現実を受け入れて、私は一つ深呼吸をしてからうっすら瞼を上げ考える。

 真人さんの真意は分からないけれど、今まで寄り添ってくれていたことも事実だ。

 彼の優しい笑み……あの慈しむような眼差しが偽りだとは思えない。

 だから、ちゃんと彼から話を聞くまでは真人さんを信じていようと思った。
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