闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「……とりあえず、詳しいことはその真人という人物に聞いてみるしかないわね」


 私が落ち着いたのを見てから、久島先生は静かに結論づける。

 そして今度は厳しい声音でこれからのことを話した。


「とにかく今一番大事なのはあなた自身のことよ」

「え?」

「申し訳ないけれど、ヴァンピール予備軍であるあなたをこのまま放置することは出来ないわ」


 始めて見る久島先生のハンターとしての顔。

 強い意思をその目に宿して、感情を殺している様にも見えた。


「血を抜くことでまだ人間でいられているけれど、いつヴァンピールになってしまうか分からないわ。……あなたには、吸血鬼になるという選択肢しかないの」

「あ、それなら櫂人に……」
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