闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 もし真人さんが吸血鬼なら彼の血である可能性が高いけれど……でも確証はないし、これも本人に聞かなければ分からないことだ。

 久島先生は「そうよね……」と表情を悲しげなものにして、すぐに気を引き締めるように厳しいものに戻した。


「それなら、あなたはハンター協会で保護させてもらうわ」

「保護、ですか?」

「ええ、あなたが――」

「保護というよりは管理だろう? こういうのはちゃんと伝えた方がいいと思うよ?」


 突然第三者の声がして、思わずビクリと驚く。

 声の方を見ると、いつの間に入って来たのか入り口の辺りに大橋さんの姿があった。


怜伽(りょうが)……」

「朝霞、櫂人くんに知られたら手間がかかる。すぐにでも彼女を連れて行く」


 久しぶりに見た大橋さんは、冷たい印象そのものの様子で淡々と告げる。

 初めて会ったときは見た目のわりに親しみやすいと思ったのに、今はそんな雰囲気は欠片もなかった。
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