闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 吸血鬼になること自体はそれほど抵抗はない。

 だって、櫂人と同じになれるということだから。

 それに、もしもの時は彼に吸血鬼にしてもらうと約束した。

 だから櫂人に足りない分の血を入れてもらえばいいんじゃないかと彼の名を出す。


「櫂人くんの血では駄目よ」


 でも、最後まで言い切る前に却下されてしまった。


「吸血鬼になるには同じ吸血鬼の血でなくてはダメなの。でないと入った血が反発しあって、下手をしたら死んでしまうわ」

「死っ⁉……そんな……」

「一応聞くけれど、あなたに血を入れた吸血鬼は誰なのか分かる?」

「……いえ」


 血を入れられたこと自体知らなかったのに、誰かなんて分かるわけがない。
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