それ行け、ぽっくん!!
「…送るよ」

そう言って塩野さんは立ち上がった。

ボクは唇をギュッ、と噛み締める。

間違いなく。

油断すれば泣いてしまうから。



ボクが泣いたところで、塩野さんは困るし。

何より。

塩野さんに。

こんな淡い恋心なんて。

打ち明けられない。



いつかは。

にーさんや塩野さんが転勤して。

別れが来る事はわかっている。

でも、まさか。

塩野さんが退職して家を継ぐとは思わなかった。



「考えといて。
もし、家電とかそのまま使って貰えたらオレもかなり助かるから」

バイクの後ろに乗る前。

そう言われたので頷いた。



辛くて泣きそうなのを我慢して。
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