彩りの日々
「……兄貴いなくなって寂しいの、みちじゃねえの?」

ぴたっと、しょうちゃんが足を止める。

「え?」

ぼそりと呟くしょうちゃんの言葉に私は首を傾げる。

ジッとこちらを見つめるしょうちゃんの瞳はなんだかとても物言いたげだ。

「……兄貴、彼女と別れたって」

「……へ?」

――彼女?

彼女と別れた?
突然の単語に私の頭が混乱する。

「今回の単身赴任で遠距離になるから、それが原因みたい。兄貴がフッたのか彼女にフラれたのかはわかんないけど」

「え……? うん?……そう、なんだ?」

かずくんが彼女と別れた。
いきなり言われた言葉に私は混乱していた。

そもそもこんなことを何故しょうちゃんは私に話すのだろうか。

そんな私の混乱を見てとったのか、しょうちゃんはハアと大きくこれみよがしな溜息を吐き出した。

「みちなら待っててやるって言えば? ずっと兄貴に片想いしてたんだから、遠距離くらいどってことないでしょ」

「え!? えっ、えっ……!? な、なんで、知って……!?」

一気に私の顔に血が集まる。

自分の恋心は隠しているつもりで、絶対に誰にも気づかれていないとずっと思っていたのに。

よりにもよって好きな相手の弟(しかも自分も弟のように可愛がっていた相手)にもバレていたというのはとてつもなく恥ずかしい。

「いや、そういうのじゃなくて、……わ、私がかずくんに抱くのは、憧れというかですね……!!」

真っ赤になって、しどろもどろに言い訳を始める私に、

「別にずっと知ってたし。……隠さなくていいよ」

と、しょうちゃんは一刀両断である。
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