彩りの日々
「あ、……そう、なの……?」

「今なら彼女と別れたばっかで弱ってるだろうからつけこめるんじゃねえの?」

「いやいやいや、なに言っちゃってんの……!?」

「そう?」

スッとしょうちゃんの目が細められる。


見た事もないような大人びた顔をする彼に私の心臓が一瞬ドキリと跳ねた。


「好きなやつにつけこめそうならつけこめばいいのに。俺ならそうするけど?」

「……、」

あの幼く可愛かった弟のような少年は一体どこに言ってしまったのか。

私の知っているしょうちゃんは自分にこんな悪知恵を唆すような子ではなかった。

「……しょうちゃんがいつの間にかマセガキになっている……」

「ガキって言うんじゃねえ!」

その単語は明らかにしょうちゃんの怒りの琴線に触れたらしい。

不機嫌になった彼の語気が荒くなる。

「ご、……ごめん……」

そのあまりの剣幕に私も素直に謝った。

やはりこの年頃の男の子は難しいと首を竦める。



「でも、……隠せてると思ってたんだけどなあ……」


自分ではかずくんへの気持ちは隠しているつもりだったし、誰にも気づかれないくらい上手くやっているつもりだったのに、何故しょうちゃんにはバレてしまったのか。

こんなつもりじゃなかったのにという気持ちと、今までの自分の淡い恋心の片鱗を気づかれていたという恥ずかしさとで少し居た堪れない。


「……俺にはわかるよ」

「……?」

少し面白くなさそうに眉間に皺を寄せるしょうちゃんの気持ちがわからなくて、私は怪訝そうに彼を見つめ返す。

年の離れた兄がいるせいかしょうちゃんは昔から時々年齢よりも大人びたことを言う子供ではあったし、鋭い観察眼があるのかも。




気まずそうに目を逸らすしょうちゃんの耳が少し赤くなっていることに私は全く気付いていなかった。

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