Forbidden Love~どうか私に鏡を下さい。
メイドさん達は、慌ただしく動いている。
その様子をぼんやりと見ながら、私はふと、おかしなことを思い出した。



フランスのブティックの試着室に入った女性が拉致され、見世物小屋に売られる、という都市伝説だ。
しかも、両手両足を切り落とされて…
まさか、さっきの鏡の小屋はその手の場所だったのか?
そんなことを考えたら、あまりの怖さに、気分が悪くなった。



「巫女様、どうかなさいましたか?
顔色が真っ青です。」

「だ、大丈夫です。」

「こちらへ。」

メイトさんが肩を貸してくれて、私は天蓋付きのベッドに寝かされた。



「ただいま、お水をお持ちします。」

「あ、お構いなく…」

横になり、そっと目を閉じる。



(考えが飛躍しすぎだ。
あんなのは、ただの都市伝説だもの。
じゃあ、ここは?)



目を開けると、メイドさんの一人が傍に居た。



「ここはどこなんですか?」

「アルシオン城です。」



(アルシオン城?)



聞いたことがない。
少なくとも、今回のツアーでは行ってない。



「私はなぜここに?」

「サーマリー様が、鏡から呼び出されました。」



(サーマリー様って誰?
鏡から呼び出されたって…は?
何なの?意味がわからない!)



「あの……」

私が話しかけた時、部屋の中に誰かが入って来た。
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