龍神様の贄乙女
***
辰と迎えた七度目の夏――。
灼熱の太陽が招くのか、今夏も例年通りびょうびょうとたけり狂う強風を引き連れて、大雨が大地を叩く台風の季節が到来した。
だが今年は例年と違って、まだ一度も心配するような大きな颶風に見舞われてはいなかった。
最初の内こそ一人では祠から続く屋敷の外へ出られなかった山女だけれど、ここに住み始めて程なくして、辰から爪の先程の小さな銀色の鱗を一枚手渡された。
角度を変えると虹色にも輝くそれを、首に下げる巾着とともに小さな掌へ握らされて。
その鱗を身に着けてさえいれば、一人で土間の先にある扉を抜けて外へ出ても、祠を通じてここへ戻って 来られると辰から申し添えられた。
それは、同時にこの鱗を身に着けず外へ出てしまえば、山女は自力では二度とここへ戻ってくることは叶わない事を意味していた。
鱗を手渡されて以来、天候の良い日は辰が留守をしていても、日中は彼と食べるために川で魚を獲ったりして過ごす事が出来るようになった山女だ。
けれど、いつも大荒れの日ともなると、決して屋敷の外へ出てはいけないよ?と辰からきつく申し渡されてしまう。
辰と迎えた七度目の夏――。
灼熱の太陽が招くのか、今夏も例年通りびょうびょうとたけり狂う強風を引き連れて、大雨が大地を叩く台風の季節が到来した。
だが今年は例年と違って、まだ一度も心配するような大きな颶風に見舞われてはいなかった。
最初の内こそ一人では祠から続く屋敷の外へ出られなかった山女だけれど、ここに住み始めて程なくして、辰から爪の先程の小さな銀色の鱗を一枚手渡された。
角度を変えると虹色にも輝くそれを、首に下げる巾着とともに小さな掌へ握らされて。
その鱗を身に着けてさえいれば、一人で土間の先にある扉を抜けて外へ出ても、祠を通じてここへ戻って 来られると辰から申し添えられた。
それは、同時にこの鱗を身に着けず外へ出てしまえば、山女は自力では二度とここへ戻ってくることは叶わない事を意味していた。
鱗を手渡されて以来、天候の良い日は辰が留守をしていても、日中は彼と食べるために川で魚を獲ったりして過ごす事が出来るようになった山女だ。
けれど、いつも大荒れの日ともなると、決して屋敷の外へ出てはいけないよ?と辰からきつく申し渡されてしまう。