龍神様の贄乙女
「……初めて?」

 お馬の部分よりも初めての方に反応した男が、山女(やまめ)をじっと見下ろしてくる。

「俺には女人(にょにん)の身体の事は良く分からぬが、その……大事ないのか?」

 言外に辛くはないのか?と含められたのを感じて、山女は血の気の引いた青白い唇に無理してやんわりと淡い笑みを浮かべた。

「主様に気遣って頂かねばならないほどしんどいわけではありません」

 本当はお腹が痛くて堪らない。
 股の間も何だかじめじめとして心地悪いし、今すぐに布を取り換えて横になりたい。

 そんな風に思ったけれど、生贄の分際でそんなこと、主様に言えようはずもなかった。

「問題がないようには見えないが? 悪いことは言わん。今すぐ里へ帰れ。俺には贄など要らんし、そもそもここはお前のような子供が居て心地良い場所ではない」

 なのに眼前の男は、口調こそ山女を突き放すような物言いで、その実いままで山女が出会ったどんな大人達よりも彼女に優しかったから。

 山女はついポロリと涙を落としてその場にしゃがみ込んでしまった。
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