【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 聞いた津島先輩は納得は出来ないんだろうけれど、答えは期待できないと諦めるように息を吐く。


「それじゃあ」

 と、次に質問したのは俊君だった。


「今まで人間にしか見えなかったのに、どうやって突然吸血鬼になったんですか?」

 その質問には、忍野君は迷いながらも答えてくれる。


「これは、言っても大丈夫かな?……人間の血を飲むってことがトリガーなんだ。人に成りすましているだけだから、人間の血を飲むことで本来の吸血鬼に戻るって感じかな」


「ってことはあの時飲んだのって……」

 岸と対面したときに何かを飲んでから忍野君は変わった。

 あのドリンクのようなものは人の血だったのか。


「そうだよ、雑貨屋で香月と別れてから念のためと思って調達してきたんだ。……初めて飲んだからちょっと抵抗あったけど」

 そうして忍野君はまた悲しそうに笑う。


 もしかしたら忍野君は吸血鬼になりたくなかったんじゃないだろうか。

 でも、責任を感じて私を助けるために血を飲んだ、と。


 申し訳ない気持ちが湧いてくる。

 でもどうしてそこまで責任を感じてるのかが分からないから私としてもどんな言葉を掛ければいいのか分からない。


 そうしていると、部屋のドアが開いて愛良が入ってきた。

「お姉ちゃん!」

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