【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 だから愛良という“花嫁”が誕生したし、私という“花嫁”もどきが出来上がってしまったんだ。

 長い時が流れてなお、その血は受け継がれていく。

 繋がっていく。


 とうの本人はもうこの世にいなくても、私達の血の中に彼女はずっといたんだ。

 ……ううん、きっと彼女だけじゃない。

 たくさんの人の生きた証が、私の中にあるんだ。


 きっと私もそうやって子孫の血の中で生きていくんだろうな……。


 なんて、ちょっと壮大なことを考えてしまった。


 そのままボーッとしていたらちょっとウトウトし始めてハッとする。

 この後は遅めの昼食を取って着付けやメイクアップなどまだまだ忙しい。

 お昼寝している時間は流石にない。


 シャキッとするためにも、部屋に置いてあったお茶を入れて一服した。


***


 昼食の後は、着付けとメイクアップ。

 まずは髪を結いあげられ、エクステも使って盛られていく。

 もみあげの部分は少し残して巻かれて、動くたびにそれが揺れてちょっとテンションが上がった。


 メイクはもう黙ってジッとしてされるがままの状態。

 そんなに塗りたくるわけじゃないのに、ドッと疲れたのはなんでだろう……。


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