【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 振袖を着つけてもらうのも疲れたけれど、出来上がりを鏡で見せられるとやっぱりテンションが上がって元気が出てきた。

 うねってる髪は綺麗に結い上げられていたからコンプレックスを刺激されることが無かったし。

 いつも眠そうに見えるたれ目はアイメイクで少しキリッとなるようにされていたからか、かわいらしさの方が前面に出ていた。


 みんなに癒し系美少女と言われたし、永人にはいつも可愛いと言われているし、吸血鬼にもなったから美人度は上がっているというのは分かってる。

 でも、長年持ち続けたコンプレックスはそんなすぐになくなるものじゃなくて、未だに髪はうねってるようにしか見えないしたれ目は眠そうに見えてしまっていた。


 それがメイクアップされると変身できた気になるのはなんでなんだろう?


 まあ、とにかく嬉しいことに変わりなかった。



「わっ! お姉ちゃん綺麗!」

 同じくメイクアップを終えた愛良と合流すると、真っ先にそう褒めてもらえる。


「愛良こそ綺麗だし可愛いよ!」

 ドレスを見せてもらったときから思っていたけれど、想像以上の可愛さだった。


「ありがとう。でもお姉ちゃんは和装だからかな? ちょっと大人っぽい色気も出てる感じ」

「えぇ? そ、そうかな?」

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