元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「王子様だって明かしているわけだし、流石に何もないと思いたいわね」
「うん……」

 マルセルさんもいるのだ。
 もしまたリュシアン様が暴挙に出ても、きっと彼が止めてくれる……と思いたい。

「というか、もし何かするつもりがあるならもうとっくに先生のとこに突撃していそうじゃない?」
「! 確かに……え、先生大丈夫かな?」

 急に不安になってきた。
 昨日も一昨日もリュシアン様に振り回されっぱなしで結局一度も先生の姿を見ていない。

「ど、どうしようアンナ、先生に会いに行きたいけど私出入り禁止だし、廊下から話しかけるだけなら平気かな?」
「落ち着いてレティ」

 苦笑しながらアンナがこちらに戻って来る。

「わかった。じゃあ私も一緒に行くわ」
「ありがとうアンナ~~」

 両手を組んで心からお礼を言う。

「そうと決まれば早めに朝食済ませちゃいましょう」
「うん!」

 そうして私たちは急いで支度を終わらせ、いつもより早く部屋を出て寮の食堂へと向かったのだった。

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