元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
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「姫様」
呼ばれてゆっくりと目を開けると、安心する笑顔がすぐそこにあった。
――これはいつもの夢。前世での記憶だ。
花と緑で彩られた美しい庭園のお気に入りのベンチで一人まどろんでいた私は、聖女セラスティア。
そして。
「クラウス」
腰に長剣を携えた金髪碧眼の彼は、私の従者だ。
「冷えてきましたので、そろそろ中に入りませんか?」
「……」
優しく微笑む彼をじっと見つめていると、彼は首を傾げた。
「どうかされましたか?」
「ううん、ちょっと考え事をしていたの」
「考え事ですか?」
私は頷いて、思い切って彼に訊いてみることにした。
「クラウスは、生まれ変わりってあると思う?」
「……生まれ変わり、ですか?」
案の定、クラウスはきょとんとした顔をした。
その顔がおかしくて、私はクスクスと笑う。
真面目な彼のことだ。そんなこと、これまで考えたこともないのだろう。